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September 2015

2015.09.01

世界に影響される

今はある言語を使う人が世界中にいる。その言語を母語にしている人が各地に散ってそこで話すというだけではない。その言葉を母語としない人が移住してきてその言語を話すことがある。さらに母語の圏外にいながらその言語に影響を与えることすらある。そんな経験をした。

話はある文書に出てくる機械部品の訳語についてである。多くの部品の名称と規格はJISに定められている。対応する英語を日本語にするときにはJISにある表記を使うのが一般的である。

ところがある部品でJISの定めたものではない訳語が使われていた。検索をしてみるとこの訳語は中国の企業向け電子商取引サイト、アリババのページに出ている。しかもそれに類似のサイトが多数出てくる。それ以外では検索されない。

この文書を翻訳した人は、訳語を決定するにあたりアリババで使われている事例を一般的と思ったらしい。もう一歩踏み込んでJISを調べなかった。

アリババで拡散された誤訳がネットを通じて世界に拡散する。そして日本語を母語とする翻訳者ですらそれに影響されるという話である。

もっともアリババが最初に各国語に翻訳したときには、それぞれの言語を母語にする者に翻訳をさせた可能性が高い。とすればこの事例では元のアリババのサイトの翻訳に関与した日本人の誤りが、他の日本人による今回の翻訳の誤りに手を貸したということかもしれない。

純粋に一つの言語に限っても、誤用がいつの間にか主流派になるという話はよくある。性質としては昔からある話であるが、誤用や誤訳も世界規模になってくる。


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