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January 2016

2016.01.03

括弧書き

外国人が日本の風習を研究して論文を英語で書いた。それを日本語に訳すという仕事がきた。そこにときどき括弧書きで日本人以外の読者の助けになる情報が書かれている。さてこれをどうするか。

括弧書きは読者のよく知らない事項について説明をして理解の助けにするものである。読者に自明なことは括弧書きにする必要はない。これを翻訳の世界に当てはめるとどうなるかを考えてみる。

(1)原文の世界でも訳文の世界でも余り知られていない事柄であれば、括弧書きはそのまま訳す。
(2)原文の世界では自明であるが訳文の世界では知られていない事柄であれば、原文にはなくとも括弧書きを添える方が読みやすくなる場合がある。括弧の替わりに訳注にするという手もある。
(3)原文の世界では知られていないことなので括弧書きがあるが、訳文の世界では自明の事柄であれば、原文にある括弧書きを訳す必要がないという判断をすることもある。

なぜそうするのかという原理を考え、そのうえで場合分けをすると答が見えてくる。冒頭の事例はこの3番目に該当する。日本人に日本の風習を改めて説明する必要などないからである。

もちろんこれがすべてではない。仮に英語の読めない日本人の学者がこの論文を査読するとなれば、外国人研究者の実力を判定するために括弧書きまで忠実に訳す必要があるかもしれない。しかしこの論文を一般の読者に読んでもらうということであれば、括弧書きを訳す必要はない。要は対象読者を考えてバランスをとるということになる。

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