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2007.11.15

幼なじみ

今度のサルタレルロの演奏会の前に、演奏をするケテフーの町の小学校でグループが色々な古い楽器を子供たちに見せるということになった。学校の関係者とメンバーの誰かがつながっていて急にまとまった話なのであろうが、こちらもそれに駆り出される。

楽器を用意してくれというので、トレブル、テナー、バスのガンバを揃え、音出しもあるかもしれないと数小節のフレーズを楽譜にして準備しておいた。ところが迎えに来てくれたクロードとジャックが、笛のイソベルが来られないからそれも必要だというので、急いで笛も選んで結構な荷物をジャックの車に積み込む。車は既に色々な楽器ケースで狭くなっている。

小学校に着くと、サルタレルロのメンバーは総勢7人となった。図書室の一角に、大人が座るには随分と小さい椅子を並べて会場を作る。女性の校長先生が面倒を見てくれる。フィリップの話を聞いていると、どうも単に楽器を見せるだけではなく、本番の曲の一部を演奏するらしい。やれ、そちらの楽譜も持参しておいて助かった。

そのうちにクラス担任の先生に引率されて、小さな聴衆が20人ほど入ってきて床に座る。8歳か9歳位であろうか。そのお客さんを前にまずイントラーダを演奏して、そのあとフィリップが皆の楽器を説明する。この音楽もそれに使う楽器もとっても古いんだよ、トレ、トレ、トレ、アンシャンで、何しろ自動車などなかった頃のものなんだから、というようなことを説明している。

リコーダー、クルムホルン、ラケット、シャリュモー、フィドル、ガンバ、口琴などを子供たちに見せる。楽器をメンバーが掲げて見せると、子供たちの目と顔がすうとそちらに向く。好奇心に満ちた沢山の目。中のいたずら顔が横を向いて、こちらににっと笑う。前歯が一本抜けている。

ダブルリードのリードだけ取り出してけたたましい音を聞かせると、ひゃあと首をすくめて隣の子と見合う。皆の表情が波の伝わるように一斉に変わっていく。これは収穫、今日はこの子供たちを眺めるのが一番と、演奏そっちのけで見とれていた。

子供たちの顔はこちらの街で見かける大人の顔を反映しつつも、千差万別。賢そうな顔、悪童の顔、おしゃまな子、静かに話を聞いている子供。カールの女の子、弱視で度の強い眼鏡を掛けた子供が先生と一緒に座っている。質問をすると何人もが一どきに人差指を立てて何か言おうとする。指されると懸命に答えたり自分の意見を述べる。

かわいらしいお客さんに対するこの日の興行は4回になった。あとの方のクラスは最初の子供たちよりもさらに小さい。1年生か2年生くらいであろうか。この子供たちを見ていると飽きることがない。ふと横を見ると、フランソワーズが笑っている。こちらが余りに見とれているのに気付かれてしまった。

18年前ブルックランドの小学校に行ったのは、子供たちの入学の相談であった。そのときには校内で遊んでいる子供たちさえ外国人と感じた。カルワースで村の小学校の授業を参観したときには、外国と子供という2つを見ているという意識のうちでは、外国人よりは子供の方が強くなった。それでもまだイギリスの子供たちと感じていた。

そして今回であるが、外国という意識は全く消えていたのである。それは慣れたというのとは少し違う。目の前にいるのは確かにフランスの愛らしい子供たちであるが、その向こうに昔懐かしいものがある。この子たちの表情や仕草を眺めていると、自分が小学生であったときのクラスのあの顔この顔が髣髴としてくる。幼なじみに再会した、いやもっと正確に言えば自分が小さくなってあのときの子供になってしまったような感じすらするのである。

こうも思う。生命に対する意識は年齢とともに次第に強くなるように感ずると。外見や言葉の違いを超えて、そこに生きている子供たちから何かを与えられたのである。駆り出されて、この子たちから生命を貰った日となったことを感謝した。

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Comments

>生命に対する意識は年齢とともに次第に強くなるように感ずる。

意味深な言葉です。十二指腸潰瘍で入院していたのでPCを控えていましたが、久々に来て良かったです。

柏アーリー・リコーダー・コンソートはwebを引っ越しました。
(今度は会員しか見れないwebにしてしまった。すみません)

Posted by: handel | 2007.11.20 at 12:43 PM

Handelさん

コメントを有難うございました。

入院されていたとのこと、予後の順調であることをお祈りします。私たちが生かされているということは、健康であるときにはなかなか気が付きません。あるきっかけがあり初めてそうなのかと納得し、その意識を他にも延長することができるようになります。働き盛りに吐血して入院した時のことを書いた、玉村豊男氏の『アルマジロ私想録』にはそのときの気持ちの動きや気づきが良く描かれて、深いものになっていたと記憶しています。

Sクラス門下生の発表会が先月あった由、参加されましたか。アンサンブルを楽しむのも生命の発現、どうぞ日々を意義あるものにして下さいますよう。

柳絮

Posted by: 柳絮 | 2007.11.22 at 03:25 PM

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