私のお母様
クローディーのところで、2本のフルートのためのソナタを合わせる。バッハ、オットテール、クヴァンツ。しかしこの日の主な目的はデュオではなく、先日サバールのコンサートで会ったとき、彼女から手伝ってと頼まれたテレマンとヘンデルの練習であった。
クローディーは高校の音楽の先生を昨年退職したが、ブリックベックの音楽学校ではまだ教えている。そこの生徒のオーディション、つまりは発表会が7月にある。2人のフルートの生徒がそれぞれテレマンとヘンデルの曲を演奏する。こちらはその通奏低音を頼まれたもの。
今日は生徒なしでクローディーと合わせて見るだけ。テレマンはさほどではないが、ヘンデルのフルートソナタの通奏低音はかなり大変。桐朋のガンバの入学試験にこれを演奏させると聞いた。このト長調のフルートソナタは3月にアリエットのオーディションでもやったが、そのときにはアリエットには難しいからと、第2楽章のアレグロは除外した。今回はそれもする。こっちも十分な練習をしなくては。
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クローディーには2人の息子がいて、それぞれ結婚している。長男はラオスに行きそこの女性を連れ帰って、しばらく前に孫が生まれた。次男はパリの人と結婚しこちらにも孫が生まれたばかり。祖母としてどちらにも顔を出し嬉々としてその話をする。
長男がラオスからお嫁さんを迎えると聞いたときには驚いたようである。非常に小柄でこちらの人とは体格が随分違う。最初彼女は言葉も話せなかった。しかしクローディーの話し振りからは、ラオスから来たお嫁さんの肩を持つ雰囲気が伝わってくる。
その息子夫婦と孫の所に行ったときのこと。「姑は長居しない方がいいの」とクローディーが言うと、ラオスから来たお嫁さんは「いいえどうぞごゆっくり。あなたはお義母様ではなく、私のお母様です」と答えたという。優しい心根に発する言葉にクローディーは深く心を動かされた。人の心はどこでも同じである。


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